USB-C見分けナビ

USB-C見分けナビ— USB-C Cable Advisor

手持ちのUSB-Cケーブルで何ができるか、用途に必要なケーブルはどれか。ワット数、転送速度、映像出力を切り分けます。

なぜ同じ形なのに中身がバラバラなのか

USB-Cケーブルほど「見た目では判断できない」規格も珍しいと思います。端子の形はどれも同じUSB-C(角の丸い長方形)なのに、あるケーブルはノートPCを100Wで急速充電でき、あるケーブルは充電はできてもデータ転送が480Mbpsしか出ず、あるケーブルは外部モニターに映像を出せて、あるケーブルは充電専用で何もできない。実際に手持ちのケーブルをかき集めて1本ずつ試してみると、「これ何年も充電専用だと思ってなかったのに、実はデータ転送もできた」「逆にこれは太くて立派に見えるのに映像は出ない」といったことがざらにあります。中身(内部のプロトコルと配線)がまったく別物なのに、外側の形状規格だけが統一されている。これがUSB-Cの分かりにくさの正体です。

電力周りで特に重要なのが「e-marker(イーマーカー)」というチップの存在です。USB-Cケーブルは何も表示がなければ安全のため3A(60W相当)までしか電流を流せない決まりになっていて、それを超えて5A(100W)まで流すには、ケーブル自身が「私は5Aまで対応しています」と機器に伝えるe-markerチップを内蔵している必要があります。パッケージや端子に「100W」「5A」と書かれたケーブルは、このチップが入っている証拠です。逆に言えば、太くて頑丈そうに見えるケーブルでもe-markerが入っていなければ100Wは出ず、充電器やノートPC側が100W対応でも、ケーブルが原因で60Wに制限されてしまいます。さらに240W(48V×5A)まで対応する「EPR」はPD 3.1の新しい規格で、通常の100Wケーブルとは別物の専用e-markerが必要になります。

データ転送の速度にも、USB2.0(480Mbps)からUSB4(40Gbps、次世代のv2では80Gbps)まで、体感でまったく違う階層があります。外付けSSDを買ったのに思ったほど速度が出ない、と感じた時の原因は、SSD本体でもPC側のポートでもなく、間に挟まっているケーブルだった、ということが実務では少なくありません。特に付属のケーブルはコストの都合でUSB2.0止まりのことが多く、SSD側もPC側も高速対応なのにケーブルだけがボトルネックになっている、というのはありがちな落とし穴です。刻印(SSや10、20といった数字)や、稲妻(Thunderbolt)、DisplayPort(D字)のロゴは、こうした対応状況を推測する手がかりにはなりますが、あくまで手がかりであって、断定はできません。

結論としては、まず「何に使うか」を先に決めて、そこから必要なスペックを逆算してケーブルを選ぶのが一番失敗しません。手持ちのケーブルが何者か分からない時は、無表記の細いケーブルはUSB2.0 + 3A(最大60W)相当と割り切って充電専用にまわし、必要な性能がはっきりしている用途には、パッケージの仕様表示やUSB-IF認証(Certified USB)ロゴが入った製品を選ぶのが確実です。最終的に一番信頼できるのは、実際に使う機器の組み合わせで試してみることです。