接着剤選びナビ— Glue Advisor
くっつけたい素材を2つ選ぶだけで、接着剤タイプと推奨製品、注意点が分かります。素材が分からない時は見分け方から。
なぜ素材で接着剤を変えるのか
「接着剤」は1本あれば何でもくっつく、と思って買うと、たいてい痛い目を見ます。プラモデルの合わせ目に瞬間接着剤を盛って表面が荒れたり、ポリキャップにどんな接着剤を使っても数日で剥がれたり。原因は、素材によって「くっつき方」がまったく違うからです。大きく分けると2種類あります。ひとつは、PS(ポリスチレン)同士のように、接着剤で貼るのではなく樹脂そのものを溶剤で溶かして一体化させる「溶剤溶着」。もうひとつは、金属やガラス、木材と異素材のように、溶剤では溶けない素材を、接着剤という別の層で機械的に貼り合わせる「機械的接着」です。この違いを知らずに製品を選ぶと、強度が出なかったり、逆に素材そのものを傷めたりします。
溶剤溶着が使える代表がPSとABSです。プラモデルのタミヤセメントやMr.セメントは、接着剤というより「PSやABSを溶かす薬品」で、乾けば元と同じ樹脂として一体化するため、他のどんな接着剤よりも強く仕上がります。ただしABSはラッカー系の溶剤に弱く、塗装済みの面や特定の薬品でケミカルクラックというひび割れを起こすことがあるため注意が必要です。逆に、ポリキャップやタッパーに使われるPE、PPは表面エネルギーが低く、接着剤がそもそも表面で濡れずに弾かれてしまうため、プライマー(下地処理剤)とセットになった専用品以外はほぼ効きません。同じ「プラスチック」でも中身が違えば正解の道具がまったく違う、というのがこの分野の分かりにくさです。
この使い分けの多くは、プラモデルを作る人たちの文化から学びました。ガンプラの関節がABS、ボディの大部分がPSと分けて成形されているのも、可動と見た目それぞれに向いた樹脂を使い分けているからです。合わせ目を消すのに「流し込みタイプ」を選ぶ、クリアパーツには白化(接着面が白く曇る現象)を避けて水性の接着剤を選ぶ、といった知恵は、模型誌やモデラーの間で長年積み重ねられてきたものです。このナビは、そうした素材ごとの相性を、模型以外の日用品や工作にもそのまま当てはめられる形に整理したものです。
接着剤選びで失敗しないコツは、結局のところ「素材を正しく特定すること」と「目立たない場所で試してから本番に使うこと」の2つです。溶剤系の接着剤を使う時は必ず換気をしながら作業してください。このツールで示す組み合わせは代表的なパターンで、実際の製品には対応素材の表示があるので、購入前にパッケージも確認することをおすすめします。